今回より、「色は匂へど」の題名でエッセー等、思ったことを書かせて頂くこととしました。
ご存知のように、 「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見し 酔ひもせず」は、古くから「いろは仮名47文字」として知られており、全ての仮名の音を使って作られており、手習い歌の一つです。作者については不明ですが、長い間、弘法大師の作とされてきました。
これを仏教的な歌として解釈されたのが、新義真言宗の祖(真言宗中興の祖)である覚鑁(かくばん)上人<興教大師>であり、『密厳諸秘釈』(みつごんしょひしゃく)の中で、無常偈(むじょうげ)として知られる「涅槃経」(ねはんぎょう)偈の「諸行無常、是生滅法、生滅滅已、寂滅為楽」の意であると説かれました。
この意味を説明すると、以下の様になります。
色は匂へど 散りぬるを | 美しく咲く花もいずれは散るように(諸行無常) |
我が世誰ぞ 常ならむ | この世に生きる私たちも永久に生き続けることはできない(是生滅法) |
有為の奥山 今日越えて | この無常の奥山を今、のり越えて(生滅滅已) |
浅き夢見し 酔ひもせず | 悟りの世界に至れば、浅はかな夢に酔うこともなく、安らかな心境になる(寂滅為楽) |
即ち、「諸行(全てのもの)は常に移り変り、これが生滅の法である。
生じ滅するといった移り変りを終え(生死を超え)、寂滅(悟り)を安楽とする」というのが大意であります。
この仏教の基本的な教えが込められている「いろは歌」の頭の句を題名に使わせて頂いて、今後色々なテーマについて意見を述べさせて頂こうかと思っております。ご愛読頂ければ幸いです。
合掌
2010.03