聖天尊と白の法衣

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 今年も新年を迎えた正月の二日より聖天尊の浴油供を修行いたします。元日午前0時より本尊不動護摩供を修>行するので、昨年より正月の二日から開白とすることにしました。
 聖天尊の浴油供は毎月、開白前日の夜の香湯供(洗浴)に続き、翌朝、午前3時に起床、午前4時より約2時間程の修法になります。 浴油供を修するまでは、早朝の浄水をく汲んで華(樒)を浮かべて供える「華水供(けすいく)」という供養法を約二千座、修して参りました。
 流派によっては、浴油供を修する前に華水供を千座行うとか、十一面観音法を前行として行わなくてはいけないとかあるようであります。何れにしても初心の者がいきなり浴油供を修することはできないのであります。
 まだ一ヶ年だけの浴油供ですが、この浴油供を修していると、本当に密教の醍醐味というか、護摩法よりも神秘的な感覚になります。聖天さまを自分の手でとり(直接、触ってはいけないので浄紙を使う)、多羅(たら=香油が入っているナベのようなもの)に安置し、真言を唱えながら適温に温めた香油をみ頭(くし)に灌(そそ)ぐ時、聖天さまのお顔が喜んで笑っているように思えるのです。私はいつも、この喜んでいるお顔、即ち歓喜のお姿に心が震えるのを覚えます。そして、次の浴油供には今日よりもっと喜んで頂けるようにと念じるのです。

本地仏~十一面観音多羅(浄鍋)と杓聖天様がお乗りになっている荷葉座

 この浴油供は、総じて息災供(そくさいく=災いをとめる、やむ)の真言を唱えるようになっております。(真言宗に於ては四種法といって、息災、増益、敬愛、調伏の法がある。そして、それぞれに色が決っている。)息災を表わす色は白色です。
 そこで私は今年より白色の法衣を着用して浴油供を修行しようと思いたちました。 又、白は覚悟の色であります。不退転の意を示すためにも白の法衣を身に付けようと思ったのであります。
 今、また大震災の発生が予測されている中、日本国、そして、寺や信者さんの息災を祈るためと、自分自身の不退転の意を以って本年も祈りを捧げていきたいと思います。

合掌
2013年1月1日