平成26年の暮れも押し詰まった12月22日、聖天堂に扁額(へんがく)、聯(れん)、そして二股大根(ふたまただいこん)と巾着(きんちゃく)の彫刻が奉納されました。
扁額は、欅(けやき)の板に群青(ぐんじょう)の文字で「歓喜天(かんきてん)」と書かれています。
二股大根と巾着のレリーフは全体が七寸の大きさ(板厚二寸)で彫刻され極彩色(ごくさいしき)で塗られています。 大根は災いを消除する(災危消除)意であり、巾着は宝袋であり富(とみ)を増す象徴(商売繁昌等の増益)であり、どちらも聖天さまのご誓願を表しています。因(ちな)みに聖天さまの三昧耶形(さまやぎょう)は箕(き)とされています。
箕(き)は昔の農具の一種で刈り入れた籾(もみ)を選別する道具です。籾を選別するのと同じように「正しい願いを選び一つ残らず叶(かな)えてくれる」という意味を持っています。しかし流派によっては蘿蔔根(らふこん=大根)とする場合もあり、聖天さまの三昧耶形は定かではありません。
聯は、檜木(ひのき)の板にやはり群青の文字で次のとおり書かれています。向って右側には「大自在尊観世音 双身隋類度衆生(だいじざいそんかんぜおん そうしんずいるいどしゅじょう)」、左側には「感應道交難思議 是故我禮歓喜天(かんのうどうきょうなんしぎ ぜこがらいかんきてん)」と。
この意味は「大自在天と十一面観音のお二人が聖天さまという仏になって我々の求めに応じて救ってくれる。そして、その我々を救ってくれるご利益の大きさは人間の思慮分別(しりょぶんべつ)を超(こ)えている。であるから我々は聖天さまを礼拝するのである」と。分かり易く述べるとこのような意味になるのかなと思います。この文は「歓喜天和讃」より引用したものであり、聖天さまのご本誓を一番、表している言葉だと思います。
因(ちな)みに聯とは「二つ相対させて対(つい)にしたもの」という意味です。
平成22年7月に建立されて以来、聖天堂はたくさんの仏具や、絵画等によって荘厳されてきましたが、今回の奉納によって一応の完成をみることになりました。
合掌
2015年3月1日