去る10月13日、秋雨前線によりぐずついた天気が続く中、いつもの聖天参拝の会で東京に所在する聖天寺院参拝に出かけました。
何年か前にも浅草待乳山(まつちやま)聖天 本龍院、湯島聖天 心城院に皆で参拝してきたのですが、今回は以前より一度、お参りしたいと念願しておりました品川大井聖天 大福生院、そして神楽坂聖天 安養院もお参りしてきました。宗旨はどちらも天台宗です。
大井聖天は住宅地の中にあり注意しないと見過してしまいそうな場所にありますが、少し小高くなった所にある鳥居(山王鳥居)が目を引きます。
階段を上ると左手に本堂(聖天堂)、正面奥に護摩堂があります。庫裡玄関にて参拝の旨を告げると本堂の戸を開けて中に案内頂きました。そして幸いなことに「住職がおりますが面会されますか?」と聞かれたので「是非」と答え、我々は住職より聖天さまについて色々なお話を伺うことができました。
聖天さまは厳しい仏さまであること、そしてその信仰も自(おの)ずから厳しいものでなくてはならないこと等、聖天祈祷寺院でなければ聞けないお話を伺うことができました。改めて他の神仏とは違う聖天信仰の特殊性について又、注意すべき点について感じることができました。
次にお参りしたのは大井聖天より徒歩5分程の場所にある真言宗智山派 来福寺です。 境内に聖天堂があるということと大井聖天堂のすぐ近くであるということでお参りしました。
こちらも山王鳥居があり、鳥居の奥の小高い場所に聖天堂があります。大木がうっそうと茂る境内は東京の真ん中にいることを忘れさせます。
本来の予定ではこの後、高野山真言宗東京別院に参拝する予定でしたが、時間の関係で神楽坂聖天へむかうこととしました。
飯田橋駅より神楽坂を上りつめた所に神楽坂聖天 安養院はあります。往古は江戸城にあったが、家康公が入府の際、当地に移された由にあります。古地図には今と同じ場所に当院が記されています。
当寺の本尊は文六の金銅仏である薬師如来であり、先の東京大空襲の際、焼夷弾で破損したがその後、元通りのお姿に復元されたという貴重な話、又、前住は比叡山の回峰行を成満された修行の師であったこと等を前住の奥さまより懇切丁寧にお話を伺いました。
又、当寺の聖天さまは名僧といわれる第234代天台座主大椙(おおすぎ)大僧正が拝まれていた天尊であり、現在毎月1日~7日は月例浴油供、毎月中旬の1週間は別座浴油供を修行されておられるとのことであり、生駒の松本大僧正もお参りにこられたという話を聞き驚きました。
今回、大井聖天、神楽坂聖天をお参りし色々伺ったお話の中で共通なことが一つありました。それは、天台、真言と宗派は違っても聖天行を通してする済世利民の心は一つであるということです。聖天さまは確かに特殊な仏さまでありますが、その特殊な個性を済世利民のために発揮して頂くという願いは一つではないかと思うのです。
合掌
2017年11月16日