東北~聖天寺院参拝

 久しぶりに聖天参拝会のメンバー3名と共に6月17日より1泊にて本宗派寺院である宮城県遠田郡美里町にある「神寺不動尊松景院」と山形県新庄市にある「圓満寺」を参拝してきました。
 昨今は日本国内どこへ行くのにも交通の便がよくなり宮城県も山形県も新幹線が走っており、僅(わず)かな暇を見つけて出かけることができます。改めて文明の利器に感謝です。
 当日は朝9時に川口駅を出発、大宮駅から東北新幹線に乗り古川駅で下車。 駅前で昼食をとりレンタカーで松景院に到着。
 すぐに中村隆海住職の出迎えをうけ伽藍の案内をしてもらいました。
 広い境内には大師堂、馬頭観音堂、本堂、そして住職が夢告より感得した不動尊仏足跡、修行の滝等、先代住職の努力と信仰の結晶がここかしこに残されています。

 特に圧巻だったのは世界最大の塑像(そぞう)である本尊不動明王。藁(わら)の繊維を練り入れた粘土、麻(あさ)の繊維の入った漉土(こしづち)、漆喰(しっくい)等を塗って仕上げたとのことで、特にこの漆喰には住職が21日間の断食、21万枚護摩修行をした護摩の灰を混(ま)ぜているとのこと。又、台座の岩には、この護摩の灰を混ぜた粘土を1へらづつ信者さんにも塗り込んでもらったとのことです。住職、信者さんの熱き思いが込められております。
 しかし、2011年の大震災の折には毀損(きそん)し、その後、より堅固なものとして修復されたとのことです。

 最総高7メートル、総重量40トンと書いても容易に想像はできないと思いますが、本堂内陣奥の後堂2階(本尊を祀る内陣奥の後堂は階段で2階に上がれるようになっている)に上ると本尊さまのお顔がよく見え、その大きさが実感できます。又、本尊さまの前にはロールスクリーンが掛けられておりスイッチで上げ下げができるようになっており、ロールスクリーンが上っていき、お不動さまの姿が少しづつ見えていく様は感動ものです。
 そして本堂の脇壇には大聖歓喜天尊が祀られており、良縁成就、子宝成就の祈願は專らこの聖天さまで行うとのことでした。聖天さまへの法楽を捧げ、しばし住職との語らいの後、宿泊予定の鳴子温泉のホテルへと向かいました。
 翌日は鳴子温泉を出発し、次の参拝目的地である山形県新庄市へと約1時間程、車を走らせ、約束時間の朝9時30分丁度に圓満寺に到着。
 副住職の出迎えを受け、早速、聖天堂を参拝。内々陣に祀られている聖天さまの真近かにおいて法楽をいたしました。
 その後、山尾順紀住職の案内にて庫裡でお茶の接待をうけていると「お護摩の準備ができたので聖天堂へ」と案内され入堂着座。するとすばやく法衣に着替えられた住職、副住職によって「天蓋(てんがい)護摩」が修されました。(この紙天蓋は出羽三山の山伏秘伝のものと伝わっているそうです)

 山尾住職は現在、新庄市長をお務めになっており、この日はわざわざ公務を半日、休まれ、我々のために護摩供を修し、お寺や市の活動、事業等について長時間、お話をして頂きました。感謝。多謝。
 このお話の中で特に印象的だったのは、圓満寺で主催する13回を重ねた「円満寺お聖天様夏まつり」でした。 壮大なプログラムで7月に3日間、開催されます。 特に「子供、夢花火大会」は本格的な打上げ花火を1時間以上に亘り打上げ、多くの地元の協賛者を募り盛大に賑やかに開催されておられるとのことです。寺と地域が連携、密着した理想的な行事のモデルと思いました。又、これを企画する住職のエネルギーにも感嘆しました。
 そして、昼食には奥方の手を煩(わずら)わせた心づくしの山菜料理をフルコースで用意頂き山形の味を十分に堪能させてもらいました。住職、副住職、寺庭婦人によるおもてなしに恐縮しながらも、ありがたくそのお気持ちを頂戴して参りました。帰りには、名物のサクランボを買い帰途につきました。
 6月は檀務が少ないこともあり、長野と東北、2回の参拝旅行をすることができました。普段、自坊にばかりいると檀務と行事に明け暮れる毎日ですが、こうして仏さまを通して色々な地域、お寺に行くと大変、勉強になります。特に聖天さまに導かれながらの参拝旅行はいつも得難(えがた)く、更に信仰を深めるよき旅となっています。 できれば今後も回を重ねていきたいと念じています。

合掌
2019年07月15日