令和2年の年頭にあたり

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 日本は今、どこで地震が起きてもおかしくないといわれており、南海トラフ、首都直下地震の発生率は今後30年以内に約70%の確率とされています。
 また、地震に加えて、その他の自然災害、特に昨年は台風による被害が甚大でありました。これからも、これらの自然災害が増えていく恐れは多分にあり、現に今年発表された気象研究所の報によると「台風は温暖化により減速することによって暴風雨に見舞われる時間が長くなり、洪水や土砂災害が拡大する」 可能性を知らせています。 これら自然現象の大きな変化に如何に対応して行くことができるのかが大きな課題であり、令和の時代の大きな不安といっても過言ではないと思います。
 これらの災害から身を守るためにはどうすればよいのか。個人的には思いつくことはありますが、それ程、多くはないと思えます。
 昨年、台風15号、19号が関東を直撃したときは、本気で「迦楼羅(かるら)天像(※1)を造り、修法しようかと思いました。
 日本のどこの寺や神社でも行っていることとは思いますが、先ず寺社に於ては国の安寧と発展を真剣に祈ることが大事なことではないかと思います。
 お大師さまが行った「後七日御修法(ごしちにちみしほ)(※2)の精神に基づいて私も年の始めは勿論のこと、毎月の聖天浴油供には必ず、国の安寧、特に災害で命を落とす人が1人でも少ないようにと祈ります。
 多くの自然災害に対して人間は殆んど無力でありますがよく、祈るだけでは何の解決にもならないと言う人がいます。私は「祈ることは力」だと思います。祈る力によって人々は昔より多くの災害を乗りこえてきたのではないかと思います。
 多くの神仏の力によって、そして、それを信じる多くの人々の祈る力によって日本の国の安寧と人々の幸せが保たれていけることを信じて、今年も聖天供を勤めていきたいと思います。

※1 迦楼羅天 ~ インド神話の神鳥ガルダが仏教に取り込まれ仏教の守護神となった。八部衆、後には二十八部衆の一人。
 口から火を吹き、赤い翼を広げると336万里にも達するとされ、鳥頭人身の二臂と四臂があり龍や蛇を踏みつけているものもある。(鳥頭人身有翼)
 仏教においては、毒蛇は雨風を起こす悪龍とされ、煩悩の象徴とされるため、龍(毒蛇)を常食としている迦楼羅天は衆生の煩悩(三毒)を喰らう霊鳥として信仰されている。特に密教では、祈雨、止風雨の利益があるとされる。因みに不動明王の火炎は迦楼羅天そのものとされ、迦楼羅焔(えん)と呼ばれる。
 出典:フリー百科事典「ウィキペディア」
 真言「オンガルダヤ ソワカ」

※2 後七日御修法 ~ 毎年1月8日より14日まで教王護国寺(東寺)に於て真言宗十八本山の山主を始め、各山の高僧方が配役を司り、一日三座7日間にわたり天皇陛下の御衣を加持し、国家の安泰や世界平和を祈願する法会である。
 弘法大師が唐の高僧が皇帝のために始めたのに習って834年(承和元年)に宮中真言院で営まれたのが始まりである。
それ以来、一時中断はあったが現在まで継承されている。

合掌
2020年1月16日